債務整理の際の担保権の実行4

○ 仮登記担保の本登記移転
債権担保の目的で不動産に仮登記をした場合には、その担保権の私的
実行は(債務整理の際の)債務者に所有権移転の本登記をする方法で行
います。

ただ、本登記を取得するためには(債務整理の際の)債務者の協力が必
要であり債権者が単独で行うことはできないという限界があります。
仮に債務者が債権者への本登記移転に協力しない場合は、債権者は移
転登記手続請求訴訟を提起する必要があります。

私的実行であっても債権者に利益を丸どりさせるのは不公平なので、債
権額と不動産価格に差額があれば清算金を支払う義務が生じます。

○ 所有権留保の私的実行
割賦販売法では債務者が代金を支払うまでは所有権は売主に留保する
とされていますが、この場合の私的実行の方法は目的物の引きあげです。
この場合、目的物は債務者が所持していますが、これを同意なく引きあげ
ることは許されません。

同意なく債務者から引きあげると、窃盗罪で刑事罰を科せられるおそれ
もあります。
そのため、所有権留保物の引きあげという私的実行は(債務整理の際の)
債務者の同意がなければ実現できないという限界があります。
この場合も、強制的に実行するには裁判所に引渡請求訴訟を提起する
ことが必要になります。

債務整理の際の訴訟に気をつける

・本格的な債権回収(債務整理)

債権回収(債務整理)の最も本格的な手段は、やはり訴訟を起こすことです。
そこで、訴訟に踏み切るかどうかを考えるにあたって、まず訴訟のメリットとデ
メリットを見ておきましょう。

訴訟を起こす最大のメリットは、勝訴すれば、最終的には相手方の財産に対
して強制執行をし、債権回収(債務整理)の目的を果たすことができるというこ
とです。
他の制度では、金銭などの請求に限られるなどの制約がありましたが、訴訟
にはそうした制限もありません。
また、1年、2年という短い期間で時効消滅する債権でも、判決で債権が認めら
れれば、以後は時効期間は10年と長くなります。

ところで訴訟というと何か大変なことのようにも聞こえますが、必ずしもそうで
はありません。
ニュースや新聞で報道される訴訟は、いずれも大規模な訴訟か、事件性のあ
る注目度の高いものばかりで、現実に行われている訴訟の大部分は意外と
簡単に終わってしまいます。
あまり複雑な内容の事件でなければ、1人で行うことも可能です。
しかも、金銭債権の請求であれば、こちらの住所地の裁判所の管轄です。
さらに、勝訴すれば、訴訟費用は相手方の負担になりますから、その分も回
収(債務整理)できます。